「秘密」優しい帰り道【完】
潤平さんは、また下を向いて、髪をくしゃくしゃっとした。
いろんなものを、抱え込んでいる……
「潤平さんは、凪くんといつから友達なんですか?」
潤平さんは、顔を上げた。
「中学から。部活が一緒だったんだよ」
部活?
「何部だったんですか?」
「陸上」
「えっ、私と同じ........」
そうだったんだ。
凪くん、陸上部だったんだ。
私の知らない、凪くんの過去。
その過去を、潤平さんは知っている........
目の前の潤平さんの膝を見つめた。
聞いていいものだろうか。
でも、怖い。
知るのが怖い。
でも、やっぱり確かめたい。
大丈夫、何を聞いても、
私の気持ちは、変わらない.............
「あの、ひとつ聞いてもいいですか?」
「何?」
潤平さんは、優しく微笑んだ。
「私.........
私、そんなに.........似てますか?」
「えっ」
潤平さんがハッとして、表情を曇らせた。
「凪くんの好きだった人に、
私、そんなに似てますか?」