「秘密」優しい帰り道【完】
戸惑い
次の日、
凪さんの『勉強頑張れ』の言葉を胸に、
もらった飴を時々眺めながらテスト勉強したおかげか、
確認テストは、けっこううまくいった......と思う。
放課後になり、
何人かと教室で少し話をしてから、
茜と一緒に玄関を出ると、
ドキドキしながら校門へと向かった。
「確か塾も今日テストだよね、なんかテストばっか。
もう、早く受験終わってほしいよ。ねぇ、くるみ。
くるみ?」
「あぁ、ごめん。えっと......」
校門の先の笑吉屋が気になって、茜の話を聞いてなかった。
「もう!塾のテスト頑張ろうね」
「あっ、うん。そうだね」
校門に近づき、自販機前のベンチが見えた。
あ.......いた......
「じゃあ、また塾でね」
茜は私に軽く手を振って高校の方へと歩いて行ってしまった。
私も手を振ると、ちらっとベンチを見た。
今日はベンチにふたりしかいなくて、
凪さんは昨日と同じ場所に座っていた。
「あ、昨日の!」
昨日、私をからかった人が、今日も凪さんの向かい側に座っていて、
私に気づいて声をかけてきた。
すると凪さんがくるっと振り向いて、私を見ると優しく微笑んだ。