「秘密」優しい帰り道【完】
「凪がくるみちゃんと仲良くなってんの見て俺.......
本当によかったな......って思った。
あいつ、希未ちゃんが亡くなってから、
自暴自棄になってたから.......」
「凪くんが、自暴自棄に......?」
潤平さんは深いため息をついた。
「毎日、死にたがってた。
希未ちゃんのいない世界で、生きていく希望が持てなかったんだよ」
凪くん..............
いつもかわいく目を細めて笑っている凪くんの顔を思い出した。
凪くんを思い出すと、笑顔が一番に浮かんでくる。
そのいつも笑っている凪くんが、
生きていく希望を失って、死にたがっていたなんて........
それほど本気で、希未さんを愛していたんだ........
下を向いたら、涙がこぼれ落ちた。
「あぁぁぁ!ごめん!くるみちゃん!
俺、ちょっとしゃべりすぎたよな、ごめん!」
手袋をはめた指先で、涙を拭って顔を上げると、潤平さんが気まずそうに、
頭をかいていた。
「ごめんな、くるみちゃん」
私は首を大きく横に振った。
「でもさ、凪はくるみちゃんと前を向こうとしているから、
凪のこと、頼むな」
私は小さく頷いてから立ち上がった。
「教えてくれてありがとうございました」
潤平さんに深く頭を下げて、私はそこから走り出した。
走って走って、土手の上まで来て立ち止まり、
白い空を見上げた。