「秘密」優しい帰り道【完】
「ごめんなさい......」
白い空に向かって、思わず声を出して謝った。
「ごめんなさい......ごめんなさい.......
わかっているけど、
こんなことしちゃダメだってわかっているけど私........
離れたくない。
離れたくない........」
冷たい風が、土手を吹き抜けて、
私のスカートと前髪を揺らした。
今にも雪が降ってきそうな白い空。
好きだから
もう、好きになってしまったから
どうしようもなく私は、
凪くんのことが好き……
でも、凪くんは
私じゃなくて、希未さんを求めている……
好きだけど、離れたくないけど、
希未さんの代わりでいるのは、
辛い……
私は空を見上げるをやめて、ゆっくり流れる川を見つめた。
もう少し、時間がほしい。
気持ちに整理をつける時間を........
私はぎゅっと目を閉じてから、
土手を歩き出した。