「秘密」優しい帰り道【完】
すると隣から手を合わせたまま、私の顔を覗き込んでいる凪くんが見えた。
「長っ」
ははっと笑って、手を下ろした。
それから隣接する大きな公園をゆっくりと手を繋いで歩いた。
「この辺の木、全部桜なんだよ」
「桜......」
見渡す限り、葉の落ちた寒そうな木々。
これだけの木々全部に桜が咲いたら、綺麗だろうなって、
ぐるっと見渡して春を想像した。
春.......その頃私たちは、どうなっているだろう........
今から、凪くんに伝える言葉。
そのことによって、私たちの関係は、
大きく変わってしまう。
それでも、伝えなくちゃいけないと思う。
ここままじゃ、よくないから。
このままじゃ、
辛いから.........
少し先に、陽のあたるベンチが見えて、
そこまで歩くと、私は凪くんの手を引っ張って立ち止まった。
「くるみ?」
私の顔を覗き込んできた凪くんから目をそらした。
「ここ、座ってもいい?」
下を向いたまま凪くんに言った。
「どうした?」
「凪くんに、聞いてほしいことがあるの」