海辺の元で
夏休み以来、連絡もとっていなかった。

私は、知らず知らず電話していた。

「もしもし??」

懐かしい声。

「雪乃だろ?」

「もしもし…純平、私!」
「どうしたぁ?こんな時間に。」

「……ぃゃ、試験勉強。どうかな?って思って。もうすぐでしょ?」

「ああ、何とかやってるよ!今回は、自信あるんだ。だから、雪乃に心配されなくても大丈夫だよ!」

呑気な変わらない純平の声が、今日はとても暖かく感じた。

涙を堪えた。

「試験、受かったら、おごってね!」

「んん?!受かったら、まず雪乃が祝ってくれるんだろ?何で俺がおごるんだ?まっ、いっか!しょうがない。…、それより、雪乃…何かあったのか?」

純平は、雪乃の声を聞いて心配になった。

「おい…雪乃?!」

「ん??」

私は、涙を堪えるので精一杯で話すことが出来ない。
これ以上、話せない。

私は、思いを断ち切り、返事をした。

「元気でね、じゃあ! 」

電話を切った。

「ツーツーツーツー」

訳も分からず切られた電話。

様子がおかしい。

純平は、胸騒ぎを感じた。
そして、急いで部屋を出た。
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