海辺の元で
沸き上がる不安が抑えられなかった。

ぎりぎりのスピードで車を運転する純平。

夏休み以来、雪乃と連絡を取っていなかった。

それは、毎年のこと。

けれど、純平は後悔していた。

雪乃の不安定な声を聞き、後悔は増すばかり。

「あいつ…」

助手席の父も、純平のただならぬ雰囲気を感じていた。

「何もなければ良いが…」
父も落ち着かなかった。

「あぁ…」

すっ飛ばして、辿り着いたのは、雪乃の電話から二時間は経過していた。


車を止め、インターホンを鳴らした。

ピンポーン

無情に響く…

純平は、連続で鳴らした。
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

ドンドン

ドアを叩いた。

「すいません、純平です!おじさん、おばさん〜!開けて下さい!」

ドンドン ドンドン

「親父、俺、庭の方回って来る! 」

「おお!」

庭に回った純平。

すると、ガラスから見えた光景…

三人がソファで寝ていた。
が、おかしい光景…

純平は、窓ガラスを割り鍵を開け侵入した。

ガチャン!ガラガラ…

恐る恐る近付くと…

テーブルの上には、多量の睡眠薬を飲んだとされる痕跡があった。

「おじさん?おばさん?雪、雪乃?!」

「おい!純平!」
ガラス窓の割れた音を聞いて駆け付けた父。

「どうして…雪乃!しっかりしろ!おい!おい!」

純平は、雪乃を抱き寄せて、息があるかを確かめた。
ほんの少しだが、まだあった。

「なんてことだ!…」

父は、急いで救急車を呼んだ。

風のひんやりとした、寒い夜だった。

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