それでも傍にいたくて
「あー…疲れた」
そう呟きながら正門に向かっていると、校門付近に見覚えのあるシルエットを見つけた。
「…藤田?何してんの?」
声を掛けるとぱっとこちらを見、微笑んだ。
「待ってたの」
「え?」
「だから…大地君を待ってたの」
………。
僕を待ってた?どうして?なんで?
次々と疑問が浮かぶ。
「あ……えと…迷惑だった…?」
申し訳なさそうにいう彼女に僕は慌てて首を横に振った。
「ち、違う違う!全然迷惑じゃない!むしろ嬉しいって言うか…その…!」
僕は何を言っているんだ…。
恥ずかしくなって俯いてしまう。
「ほんと?よかった…」
ほっとしたように笑う彼女に僕の心はとくんと一つ脈打った。
「あのね…これから少し…時間ある?」
「う、うん」
「少しだけ…話さない?」
そう言われて僕はうなずいた。