それでも傍にいたくて
「お昼は彩華が変なこと言ってごめんね?」
帰り道を歩きながら彼女は謝った。
「え?眞鍋…?」
「うん。できてる?って…聞いたでしょ?困らせちゃったんじゃないかなって思って…」
あぁ、それか…。
「いや、いいよ。あれには海も乗っかってたしさ、案外あの二人相性いいのかもな」
そう言うと、藤田は少し目を丸くしたけど、すぐにくすくす笑い出した。
「そうかもね…!でも本当によかった…、大地君困ってなくて…。」
ずっと気にしていたのか…。
改めて藤田は優しい奴だな…と思う。
「あのさ……」
「うん?」
僕は足を止め、言った。
同じように足を止め、僕の方を振り向く彼女の顔は夕日に照らされて綺麗で、言葉に詰まってしまう。
「藤田のこと…名前で呼んでもいい?」
藤田は少し驚いたようだったけど、すぐに嬉しそうに笑い「もちろん!」と言った。