それでも傍にいたくて
「いっただっきまーす!」
さっさと着替えて降りると、みんな揃ってたので一言謝って、夕食を食べだす。
「大地…今日何かいいことでもあったの?」
母さんは勘がいい。
けど、それ以上に僕が分かりやすいのかもしれない。
「ん?別に?いつも通りだよ」
「そうか?なんか口元が緩んでるぞ?もしかして彼女でもできたか?」
父さんの”彼女”という一言に吃驚して味噌汁をブーっと吹いてしまった。
「お、図星か」
「……んなわけないだろ!」
にやにやする両親をよそに僕はご飯をパクパク食べる。
「……で、どうなのよ?可愛いの?それとも綺麗系?」
「どうせなら可愛い子がいいなぁ…で、どうなんだ?」
二人しているはずのない彼女の話題に夢中だ。
「だーから、違うって!夏休みだから練習の後にサッカー部で遊ぶんだよ」
そういうと、二人ともつまらなさそうにした。
でも…もしも、蒼空が僕の彼女になって、家に連れて来たら、きっと二人は興奮するんだろうなぁ……
なんて、考えたら少し笑えた。