それでも傍にいたくて

蒼空




彼女は僕が見ていることに気付いたのか、こちらを向き微笑んだ。



「今日も暑いね、そんなところに立ってないでこっちにおいでよ」




自分の隣をぽんぽんと叩き言った。



僕はさっき買った炭酸飲料のボトルを落としそうになりつつも彼女の隣に座る。





「九条君…こんなところで何してたの…?」





透き通るような声で僕に話しかける彼女は、夏だというのに汗をかいていない。




栗色のボブヘアーを風が揺らし、つい見とれてしまう。





「九条君…?」




「ん…?あ、あぁ……練習中にボーっとしてたら顔面にボールくらってさ。顔、冷やそうと思ったら校内の水道全部使えなくて……」




情けない話をすると彼女はくすくすと笑った。



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