片想い日記


10月

あれからずいぶん経ったけど、小枝君と仲良くなれた気はしない。


業間はずっと読書中の私。


大林たちとふざける小枝君。


正反対の私達は、微妙で巧妙な距離を保ちながら


お互いを空気のように感じていたと思う。


居るのがあたりまえ。


でも居ても居なくても変わらない。


小枝君にとっても、


ーー私にとっても。





…そのはずだった。


でも、私が学校を休んだ次の日。


小枝君は、登校した私を見て、開口一番に言ったのだ。



「ぉー、昨日休んだから俺大変だったんだからな。

プリントとかやってあげたんだぞ。偉いだろ。」


一瞬、きょとん、として、でも次の瞬間私は吹き出した。


『…ふふっ……ありがとう。』


「…おう。」


偉ぶって、でも何故かずぅっと前を向いたままの小枝君は、どうしようもなく、可愛かった。




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