届かないラブレター


「あー、ムカつく!あんな奴引っ越してこなければ良かったのに。何がバカ女よ!私は心優しく教科書を見せてあげたっていうのに!」




あの後、私の怒りはおさまることなく、あっという間にお昼の時間がきた。



私たちはお弁当を食べるために屋上へ来ている。



今日の天気は雲ひとつない快晴だが、私の心は怒りで大荒れだ。




紗奈が可愛いキャラ弁を食べながら言う。




「奈子ー、ずいぶん怒ってるみたいだけどどうしたの?」



よくぞ聞いてくれました!



「さーなー、聞いて!あいつがさー..............」






私は今日の1時間目にあったことを全部はなした。




すると、





「ずいぶん仲良さそうにしてたよね〜。な♡こ♡ちゃ♡ん♡」




る、留美!




そうだ、留美は前の席だったんだ...




「ぜんっぜん仲良さそうにしてないよ!喧嘩してただけだもん!」






「「 へ〜 」」ニヤニヤ





ふ、二人してそんなにニヤニヤしないでよ!




こうなったら





「隙あり!!」





私は留美のお弁当から、大好物の玉子焼きをとった。





「奈子ーー!」





「ん〜、美味しい♪」





留美が仲良いとか言うからいけないんだよー。




「奈子ってホントに玉子焼き好きだよねー」




紗奈が呆れながら言う。





そう、私は食べ物の中で特に卵料理が大好物だ。




小学生のときなんか、お弁当の中身をぜーんぶ玉子焼きにして、先生に心配されたぐらいだ。








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