届かないラブレター
「は、隼人?!なんでいるの?」
そう、そこにいたのは、今日出会ったばかりの性格ブサイク男だった。
「お前を待ってたんだよ」
え、なんで私を?
「意味がわからないって顔してんなー。今日約束したろ?放課後何でも奢ってやるって」
あ、忘れてた!
たったそれだけの約束を守るために、待っててくれたんだ。
「そのプリント貸せよ。半分持ってやる」
そう言って彼は、ひょいとプリントを持ってくれた。
半分とか言いつつも、3分の2を持ってくれる彼。
私は前を歩く彼の背中に向かって
「優しいとこもあるじゃん」
と呟いた。
「ん?なんか言ったか?」
「ううん、何でもないよ」
「そうか。そういえば、このプリントってどこに持ってけばいいんだ?」
「3階の自習室だよ」
って言ってもわかんないか。
隼人は今日来たばっかだもんね。
「自習室か…結構遠いな」
「え、場所わかるの?」
ビックリしたー。
転入してきたばっかだから、てっきりわからないかと…
「俺、天才だからな♪」
彼がははっと笑う。
私もつられて笑う。
このとき私は知らなかった。
彼に隠された裏の顔を。