届かないラブレター
「ふぅ~、やっと終わった~!」
あれから10分もたたないうちに、荷物運びは終わった。
1人でやってたら、もっと時間がかかってただろう。
「あ、あの、そのー、手伝ってくれてありがとう」
「ん、」
面と向かってお礼を言うのは恥ずかしい。
でも、きちんと言わなきゃね。
「よし、行くか!」
「行くってどこに?」
「俺に聞かれても知らねーよ。引っ越して来たばっかだし。お前の行きたいとこに行く」
「そ、そっか。じゃぁ、ついてきて!」
「おう。お前バカだから、道に迷わないようになー」
「またバカって言ったなー!」
気づけば、私の中の怒りは消えていた。
バカって言われるのもなれたし。
「おい、バカ。早く行くぞ!」
「もー!バカバカ言うなー」
私たちは笑いながら追いかけあった。
無邪気な子供のように。