届かないラブレター


「ふぅ~、やっと終わった~!」



あれから10分もたたないうちに、荷物運びは終わった。



1人でやってたら、もっと時間がかかってただろう。



「あ、あの、そのー、手伝ってくれてありがとう」



「ん、」



面と向かってお礼を言うのは恥ずかしい。




でも、きちんと言わなきゃね。



「よし、行くか!」



「行くってどこに?」



「俺に聞かれても知らねーよ。引っ越して来たばっかだし。お前の行きたいとこに行く」



「そ、そっか。じゃぁ、ついてきて!」



「おう。お前バカだから、道に迷わないようになー」



「またバカって言ったなー!」



気づけば、私の中の怒りは消えていた。



バカって言われるのもなれたし。





「おい、バカ。早く行くぞ!」



「もー!バカバカ言うなー」



私たちは笑いながら追いかけあった。




無邪気な子供のように。
< 21 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop