届かないラブレター


「俺はお前が嫌いだ」


「え、隼人…?」


「これ以上、俺にかまうな」


お願い、置いていかないで…




「ん~…」



目を開けると、朝日がカーテンのすき間から差しこんでいる。




なんだ、夢だったんだ。



嫌な夢見ちゃったな。




私はゆっくりと制服に着替えて、1階のリビングへ向かう。




テーブルにはいつものように、お弁当箱が置いてあった。




私の両親は共働きで、朝早くから夜遅くまで仕事をしている。




だから、家族3人が家に揃うことは滅多にない。



周りの子からは

「自由でいいなぁ~」

なんて羨ましがられたりするけど、



私はちょっぴり寂しい。




ピンクの袋に包まれたお弁当を鞄にいれて、家をでる。




「いってきます」




もちろん、返事はない。




一度でいいから、誰かに



「いってらっしゃい」



なんて言われてみたいなぁ。





そんなことを思いながら、見慣れた通学路を通って学校へ向かった。


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