甘い誘惑~Sweet Refrain~
南方さんは何を思って、シュークリームを食べながら泣いていたのだろう?

「彼女とうまく行っていないのかな…?」

呟いた後、そんな訳ないなとあたしは首を横に振った。

この間、婚約者の両親にあいさつをしたと嬉しそうに言っていた。

うまく行っていないのは彼女じゃなくて、仕事の方なのかも知れない。

「あたしじゃ、役に立たないのかな…」

南方さんからして見たら、あたしは仲がいい女友達くらいにしか思っていないのかも知れない。

よく見てくれていたとしても、妹が限界だろう。

空っぽになった容器を洗うために、椅子から腰をあげると、容器を手に持って流し台へと足を向かわせた。
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