甘い誘惑~Sweet Refrain~
コンビニを後にすると、広場の前を通りかかった。

南方さんが泣きながらシュークリームを食べていた、あの広場である。

あれから2週間が経っていた。

会社で見かけるだけだけど、南方さんに特に変わった様子は見られなかった。

「…あれは、あたしの夢だったのかしら?」

そう呟いたものの、誰かが答えてくれる訳がない。

あたしは広場の中に足を踏み入れると、南方さんが座っていたベンチに歩み寄った。

忘れ去られたように立っているそれに、あたしは腰を下ろした。

ギシッ…

ベンチが悲鳴をあげたところを見ると、かなり前からここにあるようだ。
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