甘い誘惑~Sweet Refrain~
「婚約が破棄されるかも知れないんだ」

南方さんが言った。

「破棄されるって…それって、彼女さんとの関係がうまく行っていないってことですよね?」

そう言ったあたしに、南方さんは首を縦に振ってうなずいた。

「何となくだけど、彼女が俺のことを嫌っているような気がしたんだ」

そう言った南方さんに、
「いつから、そう思っていたんですか?」

あたしは聞いた。

「つきあい始めてから、半年…いや、もっと前だったかな。

最初は気のせいかなって思ってた。

プロポーズをした時も返事はオーケーだったから、俺の勘違いだろうって思ってた。

俺、少し神経質なところがあるから」

南方さんは自嘲気味に笑った。
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