甘い誘惑～Sweet Refrain～

愛莉さんは、南方さんのことをもう愛していないんだと思った。

婚約者が自分以外の女と一緒にいたら、激怒したり号泣したりするのが当然のことだよね？

でも、愛莉さんは怒りもしなければ泣きもしなかった。

ただ冷たく、南方さんに言い放った。

その証拠とでも言うのだろうか？

愛莉さんの後ろにいる男の人に、あたしは視線を向けた。

この人は彼女の浮気相手なんだと、あたしは思った。

南方さん以外の男の人と一緒にいるところを見ると、愛莉さんは浮気をしている。

「う、浮気なんて…そんな…」

南方さんが口ごもった時、

「いちいちウソついて弁解するくらいなら、最初ッから正直に話した方がよっぽどいい。

君は…」

浮気相手の視線があたしに向けられた。