甘い誘惑~Sweet Refrain~
悲しそうに去って行く後ろ姿に泣きそうになりながら、あたしは2人に向かって頭を下げた。

それから、南方さんの後を追うように外へ出た。

これで終わった。

南方さんは、婚約と言う呪縛から解放された。

そう思いながら、
「南方さん!」

あたしは南方さんの隣に並んだ。

「――フミちゃん…」

南方さんはあたしの名前を呼んだ後、
「ごめんね、あんなところを見せつけちゃって」
と、笑いながら言った。

「はあ、ドラマでよくある修羅場を自分が経験することになるとは思っても見なかったよ」

南方さんはやれやれと息を吐いた。
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