甘い誘惑~Sweet Refrain~
目の前の建物を見あげた。

「喫茶店、かな?」

隠れ家風の造りになっているそれを、あたしは見つめた。

知らなかったな。

こんな場所に喫茶店があったなんて。

そう思いながらドアに手をかけようとした時、黒板があることに気づいた。

イーゼルのうえに置かれている黒板には、チョークで本日のオススメメニューが書いてあった。

へえ、今日はミルフィーユがオススメなのか。

それを頼もうと思いながら、ドアを開けた。

「いらっしゃいませー」

フワリと店内に漂ったのは、コーヒーの香りだった。
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