甘い誘惑~Sweet Refrain~
しかし、あいにく“文ちゃん”と言う名前は呼びなれていない。

だいたいが“文乃”とか“文乃ちゃん”な訳だったからなあ。

うーん、でもこれも作戦の内と考えれば…。

「いいですよ」

あたしは言った。

「えっ?」

突然のあたしの返事に、南方さんは驚いたと言うように返事した。

「だから、“文ちゃん”でいいですよって言う」

「…あー、そう」

南方さんはうんうんと首を縦に振ってうなずくと、厚揚げ豆腐を口に入れた。

「アチチ…」

はふはふと言いながら、南方さんは厚揚げ豆腐を飲み込んだ。
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