甘い誘惑~Sweet Refrain~

「あたしでよければ話をしてください」

これは順調な滑り出しじゃないかしら?

絶妙とも言える手応えに、あたしはスキップをしながら我が家へと足を向かわせていた。

「ただいまー」

ドアを開けると、
「お姉ちゃん、お帰りー」

3つ下の妹、源文緒(ミナモトフミオ)があたしを迎えた。

文緒は経済学部に通う女子大生だ。

「お母さんは?」

パンプスを脱ぎながら聞いたあたしに、
「今日は夜勤だって」

答えた後、文緒は牛乳を口に含んだ。

「じゃあ、お風呂入ってくる」

「お姉ちゃん、ご飯は?

食べるなら、カレー温めるけど」

バスルームへ行こうとしたあたしを引き止めるように、文緒が聞いてきた。
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