甘い誘惑~Sweet Refrain~
あたしの視線に気づいていないと言うように、彼らはまだ話をしている。

今度はあの課の上司はダメだとか入ってきた新人がこんな失敗をしたとか、そんな話…と言うよりもグチを言っていた。

グチを言っていたと言っても、
「社会の“ほう・れん・そう”ってさ、報告・連絡・相談の2文字を取って“ほう・れん・そう”じゃん?

それ言ったらさ、うちの新人何やったと思う?

そいつ、“ホウレン草を買ってきます!”とか言って外へ出て行こうとしたんだぜ?」

西田さんと言う人が呆れたと言うようにグチをこぼしているのに対し、マジメ男は相づちを打ちながらうなずいてるだけだ。

おいおい、あんたはグチの1つや2つはないの?

あたしなんかグチだらけだっつーのに。

って言うか、彼女は本当にこいつのどこを好きになったんだ?

何だかバカバカしくなり、あたしは呆れながらその場を去った。
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