地獄で咲いた愛の花
「邪魔するぞ」
そこにいたのは鬼のような形相の大人達ではなかった。
「…どなたですか?」
長い銀髪に紅の衣。
金色の瞳。
「我は白露。悪いが一晩泊めてもらえないか?」
被衣で影が落ちる顔はとても美しく上品だ。
見つめられて恥ずかしくなったのか、少女は視線をそらし問い掛けた。
「旅の方…?」
「いや、我は…」
「そうそう、その通り!俺達は旅の途中なんですよ~!だから、お願いしやす!一晩だけ!」
勢いよく喋り出した千尾丸に白露の言葉は掻き消された。