地獄で咲いた愛の花

「泣かないで、白良。大丈夫。僕が白良がここにいられるよう椿の両親に頼んでみるから。みんな酷いよね。白良に罪はないのに…」

白良が村を出ろと言われていることは、村中の人が知っていた。

憐れむ人もいるが、わざわざ自分から関わろうとする人はいない。

皆、自分が一番可愛いのだ。

しかし、和矢は違った。

彼だけは白良を元気付け、折れそうな心を支えようとしてくれた。

なぜか。

答えは簡単だ。

彼が白良を愛しているからだ。



「…………」

和矢に頭を撫でられながら涙をとめようと頑張る白良を、冷酷な鬼は瞬きせずに見つめていた。


 
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