地獄で咲いた愛の花
白良の家に戻ると、玄関前に人がいた。
「宗二くん?」
昨日来た兄弟の弟の方が白良の帰りを待っていた。
「これ、かず兄が白良にって」
彼は笹の葉に包まった何かを白良に手渡した。
それから、被衣をかぶった白露をちらっと確認して言った。
「まだいたんだ。旅人さん」
「いてはまずいか?」
偉そうに言う白露を宗二は睨みつけた。
「わあ、お団子だ!ありがとう宗二くん!」
大のお団子好きな白良。
その喜びようは半端ない。
「べつに…礼ならかず兄に言えよ」
「和矢くんは仕事?」
「ああ、だから俺が持ってきたんだ」
白良はもう一度彼に感謝の言葉を述べた。
「家に寄ってく?」
何気なく聞いた白良の隣で白露は嫌そうな顔をした。
「いや、もう帰る」
さっさと白良に背を向ける宗二。
白露は射殺すような視線で鼻持ちならない男の後ろ姿を見送った。