ストリングミー!
長い廊下の終わりに二人の所属する部署がある。昼休憩を終えた社員が続々と自分のデスクに戻ってきていた。二人はそれぞれのデスクに着いた。

「平田さん。さっき取引先から連絡入ってたよ」
「え!昼休憩中ですか?」
「うん。向こうは急ぎじゃないから、なる早で折り返してくれればいいって」

「なる早で」という言葉に古臭い匂いを感じながら、 悠希は笑顔で応対した。てっぺんの薄くなった上司はその笑顔にヘラヘラと癒された様子でデスクへ帰って行った。

悠希は受話器に手を伸ばした。ファイルの取引先名簿からその社名を探す。そこで気づいた。どこの店舗のことだ?

悠希が働くこの会社は食品を扱う会社で、悠希はそこに販売促進部にいる。様々な店舗に自社商品を売り込んだり、入荷の連絡を取るという仕事だ。
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