彼氏が浮気をしました

｢いつも結城と一緒に居てあげてるじゃん。
まぁ結城が隣にいるから
更に音羽の可愛さが引き立つ…っ｣

ケラケラと笑いながらまりあの悪口を言う
友人に無性に嫌気が差した。
俺は椅子から立ち上がり友人の胸ぐらを掴み
自分の拳を握りしめていた。

｢お前……っ!｣

｢ちょっ、ごめっ、蓮!｣

震えた叫び声に我にかえり
パッと手を離す。

｢あっ…ごめん。｣

｢いや俺も悪かったよ。
そりゃ幼なじみの悪口言われたら嫌だよな。｣

苦笑いする友人にまだ少し呆れつつも
笑って誤魔化した。
すると、

｢蓮ー。誰か呼んでっぞー。｣

と俺の名前が呼ばれた。
声のする方を見るとさっき話題になっていた
まりあと音羽が立っていた。

｢まりあっ｣

まりあに駆け寄ると
私も居るんですけどーと音羽が
頬を膨らませ俺を睨んでいた。

｢蓮…あのね、数学の教科書貸してほしいの。｣

まりあがうつむいたままそう言った。

｢あー、分かった。｣

待ってろと残して俺は再び自分の机に向かい
数学の教科書を取りだしまりあに渡す。

｢ありがとう。忘れちゃって。｣

笑いながらそう言うまりあに
愛しいような、くすぐったい感覚になり
思わず俺も笑う。

｢ほんとドジだよなー。
ほら、授業始まっから行け。｣

今の俺はきっと顔が赤いだろう。
それがバレたくなくてまりあに軽くデコピンをし
追い払う。