心底、不思議。~不機嫌カナタとゴキゲンみーちゃん~
「何してんの、お兄ちゃん。


顔が死んでるよ」







僕が勉強机の前で、内心の怒れる龍と闘っていると、ドアの隙間から顔を覗かせている妹の聡子が声をかけてきた。






「……………」







僕は不機嫌さを隠さずに振り向いた。




しかし、聡子はどこ吹く風だ。








「せっかくさぁ、神様の慈悲だか悪戯だかで、そんな無駄にイケメンな顔でこの世に生を受けたのにさぁ、無下に死にそうな顔しないでよね。


もったいないったらありゃしない。



お兄ちゃんったら、神様が起こした奇跡への感謝が足りないのよ」







………いちいち腹の立つ奴だ。




その嫌味ったらしい毒舌は、一体だれに似たんだ?





僕は苛立ちを紛らわせるため、反撃に出ることにする。







「聡子、馬鹿だな。

『慈悲』という単語は仏教用語なんだ。

だから、『神様の慈悲』というお前の発言は間違っている。

恥さらしだ」







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