心底、不思議。~不機嫌カナタとゴキゲンみーちゃん~








「ねぇ、カナタ。大丈夫?」





肩を小さく揺さぶりながら訊ねると、カナタは微かに顎を引いて頷いた。





でも、顔色は真っ青なままだ。





さっきカナタは、お化け屋敷の中で、やけに演技派なお化けが出てきた瞬間、ふらりと倒れたのだ。




あたしが慌てて「大丈夫!?」と叫ぶと、それに気づいたらしいスタッフさんが懐中電灯片手に駆けつけてきて、カナタの顔を照らした。




その顔色が血の気を失ったように青白くなっていたので、スタッフさんがカナタを外に運び出してくれた。





そこで我に返ったらしいカナタは、ものすごく不機嫌な顔で、「もう大丈夫です、歩けます」と宣言し、すたすたと歩き出した。




そして、唖然として見送るスタッフさんたちの目が届かない場所まで来ると、カナタはふらりとベンチに倒れ込んだのだった。







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