心底、不思議。~不機嫌カナタとゴキゲンみーちゃん~
あたしが言うと、カナタはぐっと言葉に詰まった。







「―――だから、怖いわけじゃなくって。

自分の命を危険にさらす可能性があるものには、敢えて近づいていく必然性を感じないってこと。


観覧車だって意味不明だよ。

ほら、あーんなに高いところで、ちょっと風が吹いただけで揺れてるんだよ?


あんなに不安定な鉄のカゴに自ら幽閉されるだなんて、みんな何を考えてるんだろう?

あの金具が何らかの原因で外れたら自分はどうなるか、っていう不測の事態に思いを馳せる想像力が欠如してるよ。


あんな危険なもの、僕は一生乗りたくないね」







「……へぇ、カナタって、高所恐怖症だったんだ~。知らなかった!」







あたしが感心したように頷くと、カナタはがっくりと項垂れた。




こんなカナタは、見たことがない。



なんだか、すごく新鮮な気持ちになる。






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