吸血鬼たちに甘く囁かれて
それだけ言うと男は私に背を向けて歩き始めた。


片手を挙げ、


「ふ~ん、あれが佐野祈織、ねぇ」


男は不敵に笑う。


「またね~」


その声は祈織には届くことなく闇の中に消えていった。


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