吸血鬼たちに甘く囁かれて
だって入ってきた彼が……


すごい不潔……なんともいえない姿だったから。


そのなんともいえない姿の彼は教団の前に立って、


「神河隼〈Kamikawa Hayato〉です」


小さい声で最後に『よろしくお願いします』と言った。


神河君の姿はボサボサの髪に厚底メガネ、新品のはずなのになぜかシワができている制服。


その姿はまるで地味男。


‘まるで’じゃないな……


彼はれっきとした地味男だろう。


< 276 / 279 >

この作品をシェア

pagetop