正義のヒーロー胸を張れ
「ああ…俺が誕生日プレゼントに送ったヤツを
まさか無くすなんて」
「ちゃっ!無くしたんじゃない!」
雄志のため息交じりの声に
私は慌てて否定する。
だってあれは、本当に事故で…
猫ちゃんが寒そうに私を見上げてきたから。
「じゃあ、雄志に聞くけど
もしも私が寒さに体を震わせてたら
どーするわけ?」
「助ける」
「自分が身につけてるモノを私にくれる?」
「うん、当たり前」
即座に返ってきた答え。
やっぱり雄志は雄志だ。優しい
「でしょ?それと一緒なんだよ!」
「………」
雄志と考えが同じだと言うことを
確認して少し元気が出た私は軽い足取りで学校に向かう。
「……俺のはあずさに。だけの話だよ」
そんな言葉なんて
これっぽっちも耳に届いていなかった。