僕らのルール
5
「なんか今日の松本、いつもよりさらに可愛い。なんなの」

「なんなのと言われましても」


本当、大学の授業は高校の時に比べたら自由極まりない。
授業の妨げにならない程度の行動なんて、簡単に許してくれる。

もちろん、今の斉藤君の言動なんかも周りに聞こえない範囲の声量だったから誰からもとがめられずにすんでいる。




授業もう始まってるのに相変わらずのマイペースだなあ・・・

隣の席に座るわ、授業そっちのけで話し出すわで自由な斉藤君。

だいたい、可愛いとか言われ慣れてないんだから、そんないい加減に使うのはやめてほしい。


「今日何かあんの?やっぱり彼氏できたの?」


どうしたらこの口を閉じさせることができるんだろ・・・。


「泉、最近可愛くなったってもっぱらの評判だもんねー」
助け舟をだしてくれるのかと思いきや、更に追い打ちをかける真美。

しかも、真美さん。それは一体、誰からの評判なんだ。なんだか聞くのも忍びない。


「二人とも、真面目に授業受けてくれなきゃ困ります」

とりあえずいつもの返しをして、斉藤君のよくわからない戯言にも無視を決め込む。


私には今日、約束があるんだから。約束に遅れないためにはこの課題を今すぐ終わらせなきゃいけないんだから。


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