僕らのルール
「で?」


「で、って?」


なんとなく反芻してしまう。

「あ、そうだ。このドナルドさっき買ったばっかりだし、あげるよ。そのギターバッグにでもつけて」

そういって、机のドナルド君を差し出す。
私の部屋はぬいぐるみを置くほど女の子らしくないし、買った時から思っていたことだった。


「え。泉はいらんの?」

差し出されたぬいぐるみを受け取るも、困惑しているかずくん。
確かに、メールでは知り合いだけど初対面の人にこんなのもらったら困るか。


「ごめん、初対面なのに渡したりして気持ち悪いかな。やっぱり私が責任をもって持ち帰ります」


「や、気持ち悪いとかは全く思わないけど。むしろもらえるなら欲しいけど」

そう言うと今度は何のためらいもなく、壁に寄りかからせている鞄につけた。


「これでいい?」


少し、微笑まれるけれど、微笑み返すなんて芸当は私にはなくて、黙って頷く。



こ・・・これは心臓に悪い。

年下とかそういう次元じゃなく、もう笑顔とか全部格好良く見えて仕方ない。

ここまでのキラキラ星人がいたなんて。
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