僕らのルール
「へーじゃあ、今日も課題出てたりするの?」

「うん、まあそれなりかなあ」

明日の授業の分はもう終わらせているから、今はそこまで切羽詰まっているわけじゃない。


「泉が何を勉強してるのか見たい。ノートとか課題とか見せて?持ってる?」

「え、ノートは見せられたものじゃないから教科書でもいい?」


学校帰りだから当然、授業で使ったものは全部鞄にある。

「こんな感じ」

教科書を広げて見せる。今日やったところは典型的な建築物の紹介箇所で建築に興味がなくても少し読めばわかるような内容だった。

「へー、計算ばっかりかと思ったけど、こういう知識みたいなのもちゃんと学ぶんだ」

「うん。私はこの建物が結構好き」

指をさしたのは、ル・コルビジェという有名建築家の作品。
教科書だから白黒で掲載されているのだけど、それでもその作品は段違いに良く見えると勝手に私は思っている。


ここまではよかったのだけど、かずくんが教科書を見ながらこの建物はどういいのかとか、その違いはなんなのかとかを質問しだすものだから私の中にある建築魂をくすぐる結果となり、ものすごい熱弁が1時間くらい続いたのだった。

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