好きみたいです××さん
一人ぼっちの我が家に帰る。
電気が復旧した後でもブレイカーが下がったままなのか、室内は暗いままで肌寒い。
自分の今の気持ちそのままのようだ。
半ば放心状態の私は玄関でそのまま座り込んでしまった。
「気持ち言っちゃった…。」
きっと、この関係はもう終わりだ。
一緒にご飯食べるのも、一緒に学校行くのも、朝会って挨拶するのも、一緒に笑い合うのも全部今日で終わりなんだ。
「もう、バイバイだね、お兄さん…。」
「勝手にバイバイしないでよ…。」
私の頭に大きな手が置かれて、思わず私は目を見開いて振り返った。
そこには少しだけ泣きそうな顔をしたお兄さんが立っていた。
なんで追いかけてきたの?とか、どうしてここに?とか色んな気持ちがグルグル渦巻く。
「女子高生、まだ僕の気持ち言ってないよ?」
お兄さんは少し思案するような様子を見せて、私の頭の上においた手のひらをわしゃわしゃと動かしながら言葉を続ける。
「女子高生はいつも明るくて笑顔がキラキラしてて、気づいたら目で追ってしまう。
どうしても関わりたくなってしまうんだ。
僕は君に。」
「それって…?」
乾いた声が口から洩れた。
「僕は君が好きみたいだってこと。」
そう言ったお兄さんは初めて見る恥ずかしそうな笑みで。
私も涙を拭いて微笑み返した。
Fin.