好きみたいです××さん
家の中は、仄かに明るかった。
リビングまで連れてかれて、やっとそれが机に置かれたいくつかの蝋燭(ろうそく)のおかげなんだと気づく。
それから、お兄さんの家は、間取りこそ私の家と同じだけど、なんだかとても広く感じた。
多分、置いているものが少ないからかもしれない。
お兄さんは蝋燭に照らされた白いソファに私を座らせると、
少し待っててと言って扉の向こうに消えていき、
タオルを持って戻ってきた。
「これで拭いて。外に出て濡れちゃったでしょ?」
私はありがたくそのタオルを貸してもらって髪の毛や衣服についた水滴を拭った。
顔の辺りを拭く時に、柔軟剤の匂いがふんわりと香った。
お兄さんの匂いだ。
くんくん嗅ぐと気持ち悪い人だと思われる気がして、慌てて顔から引き剥がす。
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