好きみたいです××さん



タオルを取り払った視界の向こうには、蝋燭の光にボンヤリと照らされたお兄さんの顔が浮かび上がった。



いつも会うお兄さんはスーツだけど、

今日は薄手のVネックのニットに少し腰履きにしたジーンズというラフな格好で、

これはこれでとても魅力的に映った。



「女子高生は夕ご飯食べた?」



お兄さんは小首を傾げながら言った。



お兄さんに見とれていた私は、少し反応が遅れて答える。



「まだ食べてません。」



本当は電気が落ちる前にカップ麺で夕飯は済ましたが、

こう聞いてくれるってことはご飯を食べさせてくれるってことなんじゃないか、

なんて変な期待を持って嘘をついてしまった。



嘘をついた後に、ほんのちょっとだけ後悔する。



「本当?

じゃあ、ちょっと食べて行きなよ。

ご飯食べてる間に電気戻るかもしれないし。」



お兄さんは嬉しそうな声でそう言うと、

パタパタとスリッパを鳴らしながらキッチンに消えていき、

すぐにお皿を持って戻ってきた。



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