ファインダーの向こう
第一章 下された使命
Chapter1
夏を過ぎた朝の冷えこみにぶるりと身を震わせて、沙樹はうっすらと瞼を開けた。
時計を見ると朝の六時を指している。どんな夢を見たか記憶にないほど、昨夜はよく寝た。沙樹はのろのろと起き上がると、肩にカーディガンを羽織ってコーヒーを淹れようとポットのスイッチを入れた。
『―――それでは次のニュースです。先日未明に起きたコンビニ放火事件の容疑で、容疑を否認していた住所不定無職の男が、雑誌記者の写真とその場に居合わせた住人の証言により、犯行を認める供述を始めた事がわかりました』
まだ日が昇らない薄暗い部屋で、沙樹はソファに座って目覚めのコーヒーを啜った。
(写真は絶対に嘘をつかない……証拠を抑えられたら逃げられないんだから)
沙樹は無表情に目を細めて、テレビ画面に映し出された容疑者の顔と、放火現場でたまたま自分が撮った写真に写りこんでいた男の姿を脳裏で重ね合わせた。
時計を見ると朝の六時を指している。どんな夢を見たか記憶にないほど、昨夜はよく寝た。沙樹はのろのろと起き上がると、肩にカーディガンを羽織ってコーヒーを淹れようとポットのスイッチを入れた。
『―――それでは次のニュースです。先日未明に起きたコンビニ放火事件の容疑で、容疑を否認していた住所不定無職の男が、雑誌記者の写真とその場に居合わせた住人の証言により、犯行を認める供述を始めた事がわかりました』
まだ日が昇らない薄暗い部屋で、沙樹はソファに座って目覚めのコーヒーを啜った。
(写真は絶対に嘘をつかない……証拠を抑えられたら逃げられないんだから)
沙樹は無表情に目を細めて、テレビ画面に映し出された容疑者の顔と、放火現場でたまたま自分が撮った写真に写りこんでいた男の姿を脳裏で重ね合わせた。
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