ファインダーの向こう
思いがけない波多野の依頼に、沙樹は困惑した。けれど、これは仕事で波多野の言うように公私混同していては仕事は成り立たない。たとえターゲットが親友だったとしても、沙樹はその依頼に二つ返事で承諾した。
「でも、私が今まで取材してきたジャンルとちょっと違うし……」
沙樹は今までに一般事件の記事や、写真を取り上げた取材をしたことはあったが、芸能関係は今まで経験が数える程だった。それを思うと承諾はしたものの、心許ない気持ちになった。
「あ、そうそう! これ、知ってるかな?」
「あ……それは」
波多野が取り出したのは報道写真賞を受賞した過去の写真が収められたアルバムだった。
「沙樹ちゃんは、この写真を撮った逢坂透って人、知ってるよね?」
「逢坂……」
逢坂透は、撮る写真ごとに何かしらの賞を総舐めしてしまうという「peep」の専属カメラマンだ。同じ編集部に所属しているというのに、沙樹は一度も相まみえたことがなかった。間接的に逢坂が撮った写真を波多野から渡され、記事を書いたことがあったが、いつも無意識に引き込まれてしまう魅力を感じさせられていた。
「こういうジャンルって女性だけじゃ危ないこともあるからね、相方に逢坂を連れて行けばいい」
「え……逢坂さんを? でも―――」
「でも、私が今まで取材してきたジャンルとちょっと違うし……」
沙樹は今までに一般事件の記事や、写真を取り上げた取材をしたことはあったが、芸能関係は今まで経験が数える程だった。それを思うと承諾はしたものの、心許ない気持ちになった。
「あ、そうそう! これ、知ってるかな?」
「あ……それは」
波多野が取り出したのは報道写真賞を受賞した過去の写真が収められたアルバムだった。
「沙樹ちゃんは、この写真を撮った逢坂透って人、知ってるよね?」
「逢坂……」
逢坂透は、撮る写真ごとに何かしらの賞を総舐めしてしまうという「peep」の専属カメラマンだ。同じ編集部に所属しているというのに、沙樹は一度も相まみえたことがなかった。間接的に逢坂が撮った写真を波多野から渡され、記事を書いたことがあったが、いつも無意識に引き込まれてしまう魅力を感じさせられていた。
「こういうジャンルって女性だけじゃ危ないこともあるからね、相方に逢坂を連れて行けばいい」
「え……逢坂さんを? でも―――」