ファインダーの向こう
沙樹は布擦れをおこした自分の服を整えて、ベッドの縁に逢坂に背を向けるように座った。
するとクスクスと逢坂の忍び笑いが聞こえて、沙樹は耳たぶまで真っ赤にして唇を噛んだ。
気を取り直して部屋を見渡してみると、部屋全体は白い壁に囲まれていて、使われていないのに無駄に大きなキッチンが生活感のなさを強調していた。
(ここって、もしかして逢坂さんの部屋……?)
「そうだ! ルミは!?」
沙樹は昨夜の出来事をもう一度思い返してみた。けれど、ルミと会話をしている途中で記憶がぷっつりと切れている。何度も反芻してみるがどうしても思い出せない。
「あの女がどうなったか知りたいのか?」
聞かれなくてもルミがどうなってしまったか想像がつく、けれどそれを受け止めるためには事実を知らなくてはならない。
「……はい」
沙樹がそう言うと逢坂はベッドサイドに置かれたテレビのリモコンに手を伸ばし、ピッとつけた。
『―――それでは次のニュースです。昨夜未明、女優の神山ルミ容疑者が麻薬取締法違反及び風営法違反の疑いで中渋警察署に連行され逮捕されました』
「っ!?」
テレビ画面から飛び込んできた映像は手錠をかけられて連行されるルミの姿だった。あまりの衝撃に沙樹は瞬きも忘れて目を瞠った。すると、突然プツっと画面が真っ暗になり電源が切れた。
(やっぱり、ルミは捕まったんだ……)
オフになった黒い画面には放心した自分と、ベッドのヘッドボードにもたれ掛かった逢坂の姿が無情に映し出されている。沙樹はぎゅっとシーツを握り締めると、ようやく昨夜起こった出来事を把握した。
「まぁ、朝っぱらから穏やかじゃないな」
逢坂は煙草のボックスを指で弾くと、飛び出た一本を口に咥えた。そんな仕草に沙樹は妙な大人っぽさを感じて、不謹慎にもその姿に見惚れてしまった。
するとクスクスと逢坂の忍び笑いが聞こえて、沙樹は耳たぶまで真っ赤にして唇を噛んだ。
気を取り直して部屋を見渡してみると、部屋全体は白い壁に囲まれていて、使われていないのに無駄に大きなキッチンが生活感のなさを強調していた。
(ここって、もしかして逢坂さんの部屋……?)
「そうだ! ルミは!?」
沙樹は昨夜の出来事をもう一度思い返してみた。けれど、ルミと会話をしている途中で記憶がぷっつりと切れている。何度も反芻してみるがどうしても思い出せない。
「あの女がどうなったか知りたいのか?」
聞かれなくてもルミがどうなってしまったか想像がつく、けれどそれを受け止めるためには事実を知らなくてはならない。
「……はい」
沙樹がそう言うと逢坂はベッドサイドに置かれたテレビのリモコンに手を伸ばし、ピッとつけた。
『―――それでは次のニュースです。昨夜未明、女優の神山ルミ容疑者が麻薬取締法違反及び風営法違反の疑いで中渋警察署に連行され逮捕されました』
「っ!?」
テレビ画面から飛び込んできた映像は手錠をかけられて連行されるルミの姿だった。あまりの衝撃に沙樹は瞬きも忘れて目を瞠った。すると、突然プツっと画面が真っ暗になり電源が切れた。
(やっぱり、ルミは捕まったんだ……)
オフになった黒い画面には放心した自分と、ベッドのヘッドボードにもたれ掛かった逢坂の姿が無情に映し出されている。沙樹はぎゅっとシーツを握り締めると、ようやく昨夜起こった出来事を把握した。
「まぁ、朝っぱらから穏やかじゃないな」
逢坂は煙草のボックスを指で弾くと、飛び出た一本を口に咥えた。そんな仕草に沙樹は妙な大人っぽさを感じて、不謹慎にもその姿に見惚れてしまった。