ファインダーの向こう
「渡瀬さん、倉野さんには手を出さないでください!」
「手を出さないでください……ねぇ、君、自分の力じゃなにもできないくせに、この私に指図はするんだね」
咄嗟に叫ぶように懇願した新垣を、氷のような視線で渡瀬が見下した。
(あ……似てる)
沙樹はその視線にデジャヴを感じた。誰かに似ているその眼差しは、逢坂そのものだった。
(そうだ……! この人が逢坂さんの異母兄弟……)
じっと見つめる沙樹の視線に気付いいたのか、渡瀬はぱっと表情を和らげてにこりと笑った。
「透に会ったらよろしくと伝えておいてくれないか、かわいい弟が是非会いたがっている……と」
「あなたが……渡瀬光輝……?」
沙樹は目を見開いて、目の前に立つ男を瞬きもせず見つめた。
「へぇ、私の名前を知っているとは光栄だね、じゃあ……お近づきの印に―――」
「っ!?」
その黒い瞳が近づくと唇に生暖かい感触がして、ぬめっとした感覚が唇を這った。そして、素早く首筋に唇が動くとチリっとした痛みが走った。
「いやっ!」
渡瀬に口づけられたと脳が判断するよりも早く、沙樹は反射的に渡瀬を突き飛ばすように拒絶した。そんな反応を、渡瀬はクツクツと笑っている。
「手を出さないでください……ねぇ、君、自分の力じゃなにもできないくせに、この私に指図はするんだね」
咄嗟に叫ぶように懇願した新垣を、氷のような視線で渡瀬が見下した。
(あ……似てる)
沙樹はその視線にデジャヴを感じた。誰かに似ているその眼差しは、逢坂そのものだった。
(そうだ……! この人が逢坂さんの異母兄弟……)
じっと見つめる沙樹の視線に気付いいたのか、渡瀬はぱっと表情を和らげてにこりと笑った。
「透に会ったらよろしくと伝えておいてくれないか、かわいい弟が是非会いたがっている……と」
「あなたが……渡瀬光輝……?」
沙樹は目を見開いて、目の前に立つ男を瞬きもせず見つめた。
「へぇ、私の名前を知っているとは光栄だね、じゃあ……お近づきの印に―――」
「っ!?」
その黒い瞳が近づくと唇に生暖かい感触がして、ぬめっとした感覚が唇を這った。そして、素早く首筋に唇が動くとチリっとした痛みが走った。
「いやっ!」
渡瀬に口づけられたと脳が判断するよりも早く、沙樹は反射的に渡瀬を突き飛ばすように拒絶した。そんな反応を、渡瀬はクツクツと笑っている。