ファインダーの向こう
Chapter2
午前五時。しんしんと雪の降る夜明け前の峰崎埠頭―――。
ここは埠頭の中でも規模が小さく、昔は頻繁に船が行き来していたが、近くに大きな埠頭ができたため、現在は貨物の荷役や船舶の接岸もない。忘れ去られた埠頭がいつの間にか違法入港の穴場となってしまった。
そして、ここ峰崎埠頭は逢坂にとっても因縁の場所でもある。思い出したくない過去が無意識に沸き起こって、
積もりかけた雪の塊を蹴飛ばした。
その時―――。
「あれは……」
視線の向こうで小さな船舶が接岸しているのが見えた。そして黒く蠢くものが忙しなく動いている。逢坂は身をちぎるような寒さも忘れて、コンテナに身を潜めながら近くに寄って見ると、ダンボールのような荷物がいくつも積み重なって、陸に運び込まれていた。逢坂は聞こえてくる外国語を、聴覚を研ぎ澄まして耳をそばだてた。
「急がねぇと日が昇っちまうぞ、日本の警察はうるせぇからな」
「これ、全部でいくらくらいになりますかねぇ」
「葉っぱ好きにはたまんねぇブツだからな、高額で買い取ってもらわないと、こっちだって生活かかってんだ」
逢坂は会話を聞きながらポケットの小型カメラで現場の証拠写真を一枚撮った。
「あいつら……」
ここは埠頭の中でも規模が小さく、昔は頻繁に船が行き来していたが、近くに大きな埠頭ができたため、現在は貨物の荷役や船舶の接岸もない。忘れ去られた埠頭がいつの間にか違法入港の穴場となってしまった。
そして、ここ峰崎埠頭は逢坂にとっても因縁の場所でもある。思い出したくない過去が無意識に沸き起こって、
積もりかけた雪の塊を蹴飛ばした。
その時―――。
「あれは……」
視線の向こうで小さな船舶が接岸しているのが見えた。そして黒く蠢くものが忙しなく動いている。逢坂は身をちぎるような寒さも忘れて、コンテナに身を潜めながら近くに寄って見ると、ダンボールのような荷物がいくつも積み重なって、陸に運び込まれていた。逢坂は聞こえてくる外国語を、聴覚を研ぎ澄まして耳をそばだてた。
「急がねぇと日が昇っちまうぞ、日本の警察はうるせぇからな」
「これ、全部でいくらくらいになりますかねぇ」
「葉っぱ好きにはたまんねぇブツだからな、高額で買い取ってもらわないと、こっちだって生活かかってんだ」
逢坂は会話を聞きながらポケットの小型カメラで現場の証拠写真を一枚撮った。
「あいつら……」