ファインダーの向こう
Chapter3
沙樹は定時で仕事を切り上げると、食事をしようとレストランの前で立ち止まった。けれど、逢坂という未知数の人物に会うという緊張からか、ショウウィンドーの中に飾られている色鮮やかな食品サンプルを見たら食欲が失せてしまった。
(カフェで済まそう……)
沙樹はそのままレストランを通り過ぎ、近くにあるカフェに入った。
仕事の合間に何度か立ち寄ったことのあるカフェで、沙樹はコートを脱いで席に着くとまったりとした気分になった。早々に注文したホットコーヒーが運ばれてくると、会社からここまで来るのにすっかり冷え切ってしまった手を、コーヒーのカップに添えて温めた。そして、ひと口飲むとほろ苦い味と香ばしい香りが鼻からゆっくり抜けていった。
(逢坂さん……どんな人なんだろ)
波多野から言われて以来、沙樹は仕事の集中力が切れるとそのことばかり考えていた。
(カフェで済まそう……)
沙樹はそのままレストランを通り過ぎ、近くにあるカフェに入った。
仕事の合間に何度か立ち寄ったことのあるカフェで、沙樹はコートを脱いで席に着くとまったりとした気分になった。早々に注文したホットコーヒーが運ばれてくると、会社からここまで来るのにすっかり冷え切ってしまった手を、コーヒーのカップに添えて温めた。そして、ひと口飲むとほろ苦い味と香ばしい香りが鼻からゆっくり抜けていった。
(逢坂さん……どんな人なんだろ)
波多野から言われて以来、沙樹は仕事の集中力が切れるとそのことばかり考えていた。