ファインダーの向こう
沙樹はベランダに出ると、一眼レフのカメラを手に取りファインダーを覗いた。その向こうには、朝日がオレンジ色に輝きながら一日の始まりを告げている。ピントを合わせてシャッターを切るとカメラとレンズが織り成す世界が形になる。沙樹はこの瞬間がこの上なく好きだった。陶酔じみたものさえ感じてしまう。
空気汚染にまみれたこの街でも、早朝だとスモッグが晴れていくらか綺麗に撮ることができる。沙樹の住むマンションは都心部にあり、狭い1LDKの部屋で一人暮らしをしていた。記事にしたい事が起きるのはいつもこの街の中心だ。一秒でも真実を逃したくないがために、わざわざこうして都会の喧騒の中に住んでいる。けれど、せめて景色はいい部屋に住みたいと沙樹は十階の部屋を選んだ。
「んー!」
沙樹は朝日に向かって大きく背伸びをして脱力すると、眼下に広がるこの雑然とした街で、今日は何が起きるかと期待に胸を膨らませた。
空気汚染にまみれたこの街でも、早朝だとスモッグが晴れていくらか綺麗に撮ることができる。沙樹の住むマンションは都心部にあり、狭い1LDKの部屋で一人暮らしをしていた。記事にしたい事が起きるのはいつもこの街の中心だ。一秒でも真実を逃したくないがために、わざわざこうして都会の喧騒の中に住んでいる。けれど、せめて景色はいい部屋に住みたいと沙樹は十階の部屋を選んだ。
「んー!」
沙樹は朝日に向かって大きく背伸びをして脱力すると、眼下に広がるこの雑然とした街で、今日は何が起きるかと期待に胸を膨らませた。