ファインダーの向こう
 伏し目がちに伏せた睫毛に煌めいたものを感じ、沙樹はハッと顔をあげた。


 灼けた太陽の光の光線が、街全体と自分を覆い尽くすように伸びてくる。視界が光で満たされて、まるでホワイトアウトのような感覚に、沙樹はただ息を呑んで昇る太陽を食い入るように見つめた。


「あ……」


 太陽が昇ると同時に沙樹はあることに気がついた。ちょうど太陽が昇る位置を挟み込むように二つの高層ビルが建ちそびえている。そのため朝日の光がビルの影から注ぎ込まれるように煌めいて見えるのだ。


「……綺麗」


 魂をも奪われる美しさに、沙樹は思い出したようにバッグからカメラを取り出して、ファインダーを覗き込んだ。シャッターを切り、その瞬間をカメラに収めると沙樹は不思議と気力が湧き出てきた。


(この場所、そういえば逢坂さんの一等地って言ってたっけ……逢坂さんは、きっとこの景色を知ってる)


 沙樹はそう確信しながら、新しい一日の始まりに大きく深呼吸をした―――。
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